起床後、ジャグディシュ寺院に行こうと外に出た。すると、いきなり向かいの店のおっさんから声をかけられた。しかし、この男はおっさんというには若い年齢だった。上記の「中間は無い法則」に見事当てはまる正統派インド人だった。
彼は洋服屋の仕立てをまかされていたらしく、僕を中に誘い込んだ。男は、頼んでも無いのに向かいのオバちゃんにチャイを頼んだ。名前はラジュと言う名前だった。
ラジュは僕に服を買ってもらおうと例の「日本人の紹介文」作戦に出た。ラジュは日本人や外国人にスーツを格安で作ってるみたいで、その作ってもらった人の写真付きだ。
だが、スーツにしては正直派手過ぎてセンスがいいとは言えなかった。そして、とある日本人の紹介文に目が止まった。
彼にスーツを作ってもらったが正直あまり気に入ってない。値段は安いのだが。彼に作ってもらわないほうが良い。
と書かれていたのだ。そして、ラジュは言う
「皆、俺の友達だ。そして君も友達だ！…良い事かいてるだろ？」
「うーん…、そだね」
本当のことはかわいそうで言えなかった。
そして、話題を変えるために周りを見渡すと、クルタがあった。インド人の庶民の服だが、僕はマハ‐バリプラムですでに一着買っていた。だが、生地が良くなく、側面がやぶけてしまったのだ。それに襟がなく、襟の有るクルタが欲しかったのだ。だから、えり付きのクルタがあったので値段を聞いてみた。
最初５００Rsと言ってたが、３００Rsまで下げて買った。
↑えり付き２代目クルタを着て撮影。
交渉は省くが、このときボラレタとは気付かなかった。僕は前のえり無しクルタが２００Rsで買ったので３００Rsだったら高くないと思ったのだ。さらに、
「店のオーナーには買値を言わないでね。安すぎて怒られるから」
とラジュはしっかり言葉巧みなアフターケアも忘れない。
←ラジュと記念撮影。
この2ndクルタ、気に入ったので結局最後まで着る事になるのだが、後々次のような会話が毎日展開されるのだった。
インド人「これはいくらで買った。」
僕「…３００Rs」
インド人「高いよ～（日本語）。おれの知り合いの店だったら同じのが１００Rsだよ」
僕「はあ・・・、そうだね。僕はこれが、気に入ってるんだ。だから気にしてないよ（嘘）。」
いつまでもぼられた事が悔しかったのはこのクルタだけだった。
＜砂漠の国・ラジャスタンの３シンボル！＞
ニュークルタを颯爽と着こなし、ウダイプルの観光にでた。ウダイプルは、エロい奴が多いが、悪質な店とかがほとんどないのし、気軽に声をかけてくれるので過ごしやすい町だった。
↑ウダイプルのシンボル、レイクパレス。
もちろん僕みたいな貧乏学生には泊まれない。
とりあえず、ホテルから１番近いジャグディシュ寺院に行く事にした。入口近くに象ライドの象が立っていた。ここウダイプルはジャイプル、ジャイサメールと並ぶラジャスタン地方の３大都市の１つ。それぞれの都市にシンボルがあって、
ウダイプルは馬(POWER)
ジャイプルは象(GOOD LUCK)
ジャイサメールはラクダ（LOVE)
だった。この３種類の動物はウダイプルのほとんどどの線密画にも描かれているのだ。そのシンボルさんの象の横を横切ろうとすると、しっぽではたかれた。文句を言っても対抗すべくもなく寺院に入っていった。
＜サドゥーのガイド！＞
寺院はヒンドゥー寺院で神の１人、ビシュヌが祭られていた。
←中にヴィシュヌ神が祭られている。
そこに、サドゥーがたくさんいた。サドゥーはヒンドゥー教で１番階級が高いホーリーマンらしいが、実態は飄々と生きているいわゆる遊び人である場合がある。まじめに修行するサドゥーもいるが、ここのサドゥーはどっちかというと遊び人タイプであった。
そして、
「案内をしてしんぜよう」
と物乞いと見分けがつかないサドゥーが話しかけてきた。聖者に案内してもらうなんて光栄だとサドゥーの誘いに応じた。
サドゥーは懇切丁寧にビシュヌについて解説してくれたあと、
「バクシーシ（喜捨を）」
と予想通り言ってきた。ガイドが良かったのでお礼に２Rs（５円）あげた。
「少ない・・」
僕「これでチャイでも飲んでね☆」
とせこい事を言おうとする聖人をさらりとかわした。
←聖なるサドゥーに案内をしてもらい記念撮影！
あと、入口付近で、靴を見てあげたと名乗るサドゥーにまたバクシーシをせまられたが、頼んでないのであげるわけにはいかなかった。
これらのサドゥーは別にいばってるわけでもなく、上からハトのフンが降ってきたらちゃんと水で拭いたらいいよと水道に案内してくれた。要するに、普通のおじいちゃんだった。
＜夕日とエロいインド人！＞
ウダイプルの郊外の山の上に夕日がきれいに見えるモンスーンパレスという場所がある。ここに行くには１０Kmくらいあるので、リキシャマンと交渉して行かなければならなかった。だが、ラジュが友人のリキシャマンを用意してくれて「往復１５０Rs（３７５円）」で行く約束をした。
リキシャは坂道をぐんぐんのぼって行った。
↑リキシャはモンスーンパレスへ頼り気なくこのような坂道を進む。
途中でエンジンを休めるためにモンスーンパレスに行くリキシャは一斉に休んでいた。皆数人でリキシャを借りているのに僕だけ１人。なんか損した気分がした。
さらにリキシャは進む。頂上に着くと眼下にウダイプルの町と湖が広がっていてよい景色だった。
↑モンスーンパレスから見たウダイプルの町と夕焼け。すばらしい景色だった。
城があったので中でぼーっとしてると、インド人に話しかけられた。
「お前は韓国人か？」
僕「いや日本人だよ！」
「お前はやったことあるか？」
僕「何を？」
「お・ん・なだよ」
僕「無いよ！」
「俺は彼女がいるが、毎週だ！」
とこんな調子でエロいインド人だった。というか、ウダイプルは全体的にエロいやつが多かった。サンセットはそれなりにきれいだった。
←僕の「専属」リキシャマンとエロいインド人
夕日を見た後、何故かこいつも一緒に僕のリキシャに乗って帰った。その途中もエロい話ばっかりだった。
「紹介してやるよ！インド人の女もいいよ！」
僕「いらない。」
「何故だ、インド人の女の子はいやか？」
僕「いや、そういうわけでは。でもいらない。」
…ああもう、ちったあ、だまってなさい！
景色が台無しではないかあ。
リキシャは途中で線密画の学校に寄った。絵はいらなかったので、中に入らなかった。確実に買わされるのが目に見えてたからである。でも、そこでもエロ話をしながらチャイを頂いた。
日本人の女性と見りゃナンパするし、エロい話ばっかりする。
彼等インド人の性欲は相当なものであると見た。
＜帰るところだから乗ってけよ！というリキシャ＞
帰ってきて夕食を食べようと、近くのレストランに入った。ウダイプルには、ローカルな食堂が何故かない。ウダイプルには欧米人観光客と韓国人が多いのだ。その原因はガイドブックの扱いによる。
欧米人御用達の英語上等のロンリープラネット（略してロンプラ）はウダイプルを大きく取り上げ、ここで１番の見物の「線密画」もちゃんと取り扱ってる。
だが、日本人のバイブル「地球の歩き方」の扱いは小さく、線密画のことはほとんど書いていない。
次の日の日記で述べるが、線密画には僕は感動したのだ。そして、日本人BPはローカルな安い食堂に、欧米人BPはツーリスト向けの高い食堂に行く傾向がある。
だから、この町にはツーリスト向けの高いレストランしかないのだと悟った。
現にこのウダイプルで日本人はあの「インド人に恋しちゃった女の子」しか見かけなかったのだ。
クリケットを見ながら高いカレーを食べて帰ろうと歩いてると、後ろからリキシャマンに声をかけられた。
僕が「歩いて帰れるよ」と言ったら
「違う違う、俺は家に帰るところだからあっちに行くのなら送ってやるよ」
と親切にもホテルまで送ってくれたのだ。これにはびっくりし、
「ありがとう。明日、どこか行く事になったら頼むよ」
とこっちから言ってしまったくらいだ。
この町は、他のインドの町とどこか違っていて独特の雰囲気があると思う。
気分良く寝ようとしたら、下腹部に怪しげな兆候が見られるのだった。
